仕事は適性のある能力を伸ばす行為だ.専門職の多い現代の労働市場においては特にそうである.学校は好きなことを見つける場所であり,その線で就職できれば最初の数年が終わっても楽しさが長続きするだろう.一生にひとつ,才能を活かせる技能があれば,一生を大きく誤らずにやっていける.需要のある技術であれば,収入をさらに増やすことも難しいわけではない.
平均寿命まで生きるとすると,32歳の自分にはあと2万日残されている.そのうち働けるのは7割程度.学業を終えた自分にとって,この世で残りの時間をどう使って生きていくかは実に自由だ.30年後の自分もこの家で暮らしていて,妻がいて,職業は定年するとしても,この30年はきっと自宅の部屋にいる現在とそう大きく変わらないに違いない.異なることといえば,資産の増加と身体の老化くらいだろう.
自分の目には,世の中は娯楽にあふれているので,退屈な時間が貴重だったり,楽しみを後にとっておく習慣が効果的だったり,今あるものに楽しみを見出して結果的に節約になったりと,楽しく見通しの明るい暮らしを送っている.この暮らしは年間100万円で成り立っている.現在の仕事を続けていれば,30年で資産が3000万円貯まるので,この程度の暮らしなら平均寿命まで持続できる.
転職すれば収入が増えるだろうし,転職は30代のうちにするしかないだろうし,次の転職先で転職を最後にしたいと思っている.お金をたくさん持つことに興味が出ず,年間数百万円のために熾烈に残業したくないと思っている自分は,成長の機会を逸しているかもしれない.けれども,職に困ることにならないよう若い今のうちから伏線を張っている.成功は別段したくないが,失敗はもうあまりしたくない.
