寒くなるとよく食べる.食べないと持たない.頭が鈍って仕事にならない.ここのところ昼食に弁当とお菓子1袋を平らげ,帰宅後2人前の食事をとっている.それでいて太らないので羨まれるか悪い気にさせてしまうが,本当は自分の特性から太れない身体であり,多く食べないと命が持たないのだ.ASDの特性である.
ASDで太っている人はほとんどいない.なぜかといえば,ミトコンドリアが人の倍あるからだ.倍というのはざっくりした数値だが,ふつうの人より多いのは確かだ.思春期や青年期に急増し,その突然の変化のおかげで,特に前頭葉でエネルギー切れを起こし,症状が脳に刻印されていく.ミトコンドリアが多いので,食べたものがすぐにエネルギーに変わってしまい,太れなくなってしまう.細めにたくさん糖分をとらないとならない.鞄に飴が必須アイテムだ.
冬場はただでさえ体温を恒常的にするために脳から身体が温まろうとするので,エネルギーを消費しやすい.しかし,ASDはその倍は消耗してしまう.なので,外から見れば精力的,集中的に行動しているように映るのだろう.その内実はエネルギー切れと隣り合わせの命を懸けた毎日なのである.
ASDは気温に鈍感で,夏は涼しく過ごせる.多分ふつうの人よりエネルギーをさほど使わずに生活できる.前頭葉の活動が鈍いので,知的活動も落ち着き,糖分の消費が少ないので食事も少なく済み,できることも少ない.毎年が怠惰な夏である.冬の激しさと夏の緩さを兼ね備えた季節感のある症候群だ.また夏が来てうだっとしたいし,また冬に研究と勉強がしたくなる.
