最近非日本圏の部録を読んでいない.趣味の数学の問題と解答を作っていない.グラフィックスを考えていない.以前はあんなに毎日数時間も耽っていた事柄が,最近等閑になってしまっている.しかしながら,取り組まない時間が長くなるにつれ,再び取り組んだ時の力が強まることを知っている.いわゆる矯めである.高校生の時に学んだ手法である.
高校2年の時から勉強を碌にしないようにする時間を積極的に作っていた.級友たちが自分の将来のためと必死に勉強を始めていく時期に,自分は自転車で市内を駆けたり,港の突堤で地平線に消える船舶を見たり,図書館で文学を読んだりして過ごした.高校3年になると大学生でも読まないような哲学書を進んで買って読み,良い受験勉強になった.
大学に入っても実装の課題を行わずに計算機科学の本を夜通しで読破したり,卒業研究にかける時間を人の倍とったり,社会人になって仕事を自主退職し研究主題を設定して結果を出したこともあった.結局やらずにおいておいたことが現在でも継続して行うことになり,さっさと片づけたことは身に付かなかったのだった.
継続するには,やらずにおく時間を作ること.継続の裏には考える時間が必要で,考えるにはそれを含めてなにも行わない時間が必要だ.関心のあることは,しばらくはしないことにする.この思い切った方法が,継続したいことを継続できるようにするかもしれない.
