土鍋の内底を磨いた.我が家は普段,土鍋で米を炊いている.つい先日,火に掛けたまま風呂に入ってしまった.瓦斯焜炉の自動停止機能で燃え広がらず助かったものの,米のおかげで土鍋の内底が焦げてしまった.その焦げはなかなか落ちず,ごはんにも影響しないので,今後こう云うものとして使うのだろうと諦めていた.ところが,きょういつものように研いだお米を設したとき,ふと鍋底に白い筋がいくつも走っていることを発見した.
確かに今朝,焦げた土鍋に水を入れて放置して出勤したのだ.磨いてみると,綺麗にとはいかないものの,16進数でいうところの#eeeくらいになった.ここで思うのだった.できないと諦めていればできないままだが,偶然にも方法を編み出すと,できることがわかる.できないことをひょいひょいとできる人がいるが,どうしてできるかといえば,できないと思ったところで止まらないからなのだろう.
きょうも昼休みに相場をみていて,以前から着目していた銘柄が急落し,購入予定値を下回ったので買った.損切りして資金を捻出した経験も初めてだった.今回の損切りでは16万円の大損が確定し,どうやって心を励まそうかと思案した.来月の給与で楽々賄えるじゃないか,先日修理に出した食洗機が無償で返ってきたのだし,今年はすでに25万円の利益が出ているじゃないか.そう慰めるのはしかし勿体ないような気がしてきた.
不意の失敗.そこにはできない経験が待っていて,できることが増える人生においてできなかった経験はすごく貴重だ.人はどうしてもできる方に変化してしまう.できないままでは生きていけないことが多いから.そこには猛烈な努力があると思いがちだが,小さな諦めをそのまま放置しない習慣があれば変化してしまえる.どうやら思いのほか人生は自由で楽しい.
