今年も仕事が終わった.充実した年だった.年収は3年連続で50万円ほど上昇し,来年もそのくらい増える.最低時給のワーキングプアから脱却し,平均的な給与で生活する社会人になれたのである.これはとてもうれしい.努力を惜しまず実力で這い上がったと形容されるが,実際は好きなことに毎日没頭してその線で仕事が見つかっただけである.神さまが自分を変えて,導いてくださったのだ.
仕事が軌道に乗ると,人生を通じた楽しみを考えるようになった.ウェブは確実に生涯切り離せない.数学研究やプログラミングも人間性を豊かにする上で役立つ.情報技術の習得もライフワークだ.それだけでも充実した人生なのだが,自分の親しんできたホームベースのような場所に戻りたい気持ちが募っている.星座や宇宙や天体とか,単純な漢字学習や鉛筆画や任天堂やボードゲームや初等数学や外国文学やグラフィックデザインのことである.
恰好をつけるということばがあるけど,小さいころから本当に好きなことではなく,格好いいから好きになろうとしたことがいかに多い半生だったことだろう.建築や水彩や哲学や化学や語学や情報科学の一部の領域.確かに好きになったし,ある程度できるので楽しいことだが,本当に好きなことではない.仕事に活かされているし,日々の思考の糧となっているし,時代を感じる事柄であり,長く続いているのだが,それは本当に好きだからではない.
本当に好きではない好きなことと,本当に好きだった事柄を両立させようとすると,多すぎてしまう.一部を切り捨てなければならなくなるのだろうか.いや,好きなことをやめるのではなくて,好きになってしまって身に染みたことが多すぎるのだから,どうにかしないと深く探究できずに人生が終わってしまいかねない.本当に追求したいことを中心にすることで,好きなことのすべてを進められる方向を打ち出していかねばならぬ.まだ知らない世界の端にいるのだから.
