何のために働くか.誰もが各自の好きなことに励んで生活できる,そういう社会に理想をみる.分業しているから得意なことで稼げる.分業はアイデアの交配によって実現し,今後も続く.専門化する職能,複雑化する社会.雇用を生む商材は既存の技術を組み合わせたもので,いずれ新たな商品と結合していく.複雑さは設計次第で減らせるが,敷設した仕組みを入れ替えるには戦略が必要.
大学を卒業して10年が経ち,社会人経験は7年程度で長くない中,社会の仕組みを分かりたいと思ってきたが,構造が少しみえてきた.社会人になりたての1年間で,社会は技術で豊かになったので技術を手放せないこと,技術は設計次第で改善し続けるので技術は仕事を滅ぼさないこと.その2つの仮説を得た.それらに加え,最近思うのは,仕事は社会を改善するので社会は仕事をなくさない,ということである.
人工知能が仕事をなくすという議論があるが,社会がその仕事を必要とするなら簡単にはなくならないはず.今から弁護士になるなら人工知能について学んでおくものだが,今弁護士である人は,デジタルから遠い人の需要をもっと考えれば,人工知能が登場して暫く経っても仕事はなくならないまま生涯を終えられるだろう.
社会・技術・仕事.この3者が経済の正体ではないかと思っている.ひとびと・ものたち・ものづくり.結局,お金はモノと交換する尺度だから,もしモノを費やさないならお金はいらない.買う・作る・売る.職業とはこれら3つのうちのどれかである.学生の時にこのことを知っていたら技術を高く身に付けたかもしれないが,学生の時に入門書をいろいろ読んだからこのように考えられたとも思う.今までは無駄ではなかったし,今後に活かせそうだ.
