好きなことをして生きていきたい.現代の労働者の誰もが考えることではないだろうか.会社や組織に所属して給与を貰える生き方は,日本特有のものだ.仕事で評価されると給与が上がるが,できる仕事が好きな仕事とは限らない.この暮らしが長くなると,できる仕事でやっていくしかなく,好きな仕事は趣味に秘めて生きるほかなくなる.こうしてほとんどの労働者は仕事と趣味の双方をもって,労働と余暇の人生を満喫する.
若いうちは好きなことで働きたいがために,転職を目指すかフリーランスで起業して営業活動を始める.自由の身になると,社会で自分を必要とする人はそんなにいないと悟り,会社に所属して給与を貰って生きる方が楽だと思う人が出てくる.こうして若者は退職,起業,転職,という3ステップを踏んで社会経験を積むのだ.この経験は陽に作用する.仕事が毎日与えられるだけ幸運であり,しっかり分業された専門職の仕事を果たせば給与が与えられることがありがたくなる.
残業の削減で余暇が増大した昨今は,仕事に余裕が出て趣味が副業となり,投資で成功した分を寄付献金する人が増えた.社会は改善した,そう考える人も増えた.結局大きな政府で役人が下僕としてきっちり働く限り,国民はゆとりある暮らしを送れる.司法や行政を市民が担う考えも流行ったが,司法行政の仕事を市民に負担させるだけである.小さな政府だと大企業や個人事業主など,本来の目的と異なる役割を組織に押し付けるので,疲れてしまう.
労働は分業だ.自分にできることをやれば自足して暮らせる.それが最も好ましいように思う.自分にできることに社会の需要があり,それをプラスアルファで満たし続けていけば,求職しなくても稼げる.稼ぎ時に稼いでしまって,馘になったらバカンスを楽しんで英気を養い,次の職場にありつく.そんなエンジニアを知っている.PCによって労働時間もアウトプットも変わった.仕事に絶望している暇があるなら自分で仕事を作ればいい.PCにはそれができる.
