考えないと分からないことも多い.世の中や仕事の上でも,聞いてすぐに分かることはあるが,理解しにくいことは残りやすくなる.理解の困難さと印象の強さは比例するようだ.今の仕事は好きなことだが,面白いものではない.苦痛ではないし,楽しみもあるが,大抵の時間はニュートラルな感覚で進めている.ある時を境に,「楽しすぎる都合の良い仕事」から,「自分のしていることが分からない仕事」になった.
きっかけは上司のある一言だ.「見る人がどう思うか考えなければウェブサイトはできないはずだ」.この一言が全く分からない.今もわからないほどだ.自分の好きなウェブサイトはできる.実際に作っている.けれども,それではできないという.相手の気持ちが分からないという高校の時の哲学的な問いに溯るしかなくなる.分かるわけがない,との結論を以て考えずに抛っておいた問題だ.
上司は「印象は作れる」といい,印象を作るのがウェブデザインだと伝えている.印象を「作る」.誰にどう受けるかまで作ることはできないはずだ.現に私の中での上司の心証は最悪だ.本人も私たちが犬猿の仲だと会議で冗談を飛ばしている.でも,上司はそうした最悪な印象を私に向けて作っていると捉えている.その心証を私に対してしか見せないからだ.だから上司はやはり印象を作っている.
その奥に意図や目的があることもうっすら伝わる.私にいい加減早く戦力になってほしいとの期待や,仕事上の課題を実現する力をもっと伸ばし,職場での経験を充実させてほしいとの優しさが,あると思える.広報歴10年以上の上司から学ぶことは多そうだ.現状,上司のことばを私はほとんど理解できていない.それだけ印象強いことを伝える人物である.謙虚に学びとりたいと思う.

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