本は文字の集合だ.文字は組み合わせるとどんな意味も持てる.だから本はどんな意味も持てる.どんな内容の本も存在しうるので,いつか飽和して新しい本がなくなる時代を迎えることはないだろう.ウェブもニュースも,人の数ほどに,時間が経つほどに,人の動きが,その結果が,文字列になり知れ渡る.
私がウェブを職にして良かったと思うことは,ウェブはエコだということだ.ウェブ開発は,文字列を生産する仕事だ.たった数十文字の鍵盤を一日中打ち,ファイルを作る.電気でメモリに書き込んで,Ctrl+Sでストレージに保存する.食う電気も人間の身体のカロリー消費より低電力である.
ウェブは更新がある.そして,ウェブは物理的な姿を持たない.いつもディスプレイに映る.虹を15分も見続けないように,ウェブサイトも長く見るものではない.しかし,虹が出れば必ず目を引くように,ウェブサイトも頻繁に見る人は多い.本は更新されないが,ウェブは更新される.だからウェブは仕事になる.
ウェブの仕事は文字列管理だ.本にはない特性だ.本は出版後に誤植が見つかると,版数を上げて刷り直すが,ウェブはしれっとひっそりと変更しておけばよい.本は並べる場所がいるが,ウェブは薄いディスクがあればよい.こうして本とウェブの間に機能的差異が存在するが,スキャンと印刷が橋を渡し,われらは自由である.

コメントを残す