Subthing

　今日は久々に一人で過ごせる日だった．何も用がない日．仕事のことは忘れて，知的に過ごしたいと思い，やろうと思っていたことを次々行えた．英文学の本を写して読解に格闘した後，電車で街に出て銀行からお金を下ろし，紳士服店で蝶ネクタイと礼服を見て相場を知り，妻のために花を買い，米を買い，帰宅して書類を整理し8割捨てた．午後はキリスト教の本を読みながら睡眠．目が覚めると，スキンケアや体臭ケアについて勉強し，保湿習慣化宣言を書く．そしてラッセルの幸福論を数章読んだ．
　仕事のことは忘れて過ごした．休日に仕事を忘れるには，広い関心を持つことが必須で，そういう人の方が良い仕事をするとラッセルは書く．今日一日で私はなるほど世の中には知らない物事が圧倒的に多いことを確認した．睡眠や神経や栄養のことはある程度知っているが，肌やにおいや髪や歯のことはほとんど知らない．洋服の生地や色の取り合わせや洗濯方法は知っていても，ビジネスシューズの手入れやネクタイ小物の選び方やセレクトショップでの買い物も，経験も知識もないのが正直なところ．
　それでも，休日の過ごし方として，数学やウェブサイト制作に打ち込めるのは良い趣味だと思うし，教会に毎週通えているのも健康上喜ばしいことで，今の暮らしが続いているうちは解決不能な問題は起こっていない．ラッセルは，余暇を知的に過ごす人は人類文明の最後の形態だが，そこに至っている人はほとんどいないと述べている．平日に勤務で退屈しないで過ごしていると，休日を存分に楽しめるようになるとも言っている．その水準に達する人は，現代は続々と増えているのではないか．
　先月，自分のドメインにサブドメインを50くらい増やした．自分のドメインで運用できるウェブサイトは100を超えた．更新できているのは1割未満だが，100それぞれにテーマは決めていて，デザインと記事書きだけが残っている状態だ．ひとりで記事を100サイト分考えて作っていくことは不可能だが，広大な原野にひとり立つような建設余地を持てているだけで余暇は充実する．まだ作っていないものを持てていれば，それだけでストレスは解消できる．ドメインを借りる利点のひとつかもしれない．