勉強家は,曲者だ.世の中にはあらゆる本が売られている.本を探すことが容易になり,本の中まで探せるわけだから,欲しい知識はつく一方だ.毎日1つ,新しい知識を得れば,1年で350の知識が得られ,自然と繋がるわけだから,1年で1,000の認識が得られる.それほど差がつく人生を5年も過ごしてみたら,同年代に敵はいなくなる.
勉強することは山ほどある.勉強するほど勉強したいことは増える.存在さえ気づけなかった知識に触れたときの,若いころもっとやっておけばという後悔は,いくつになっても勉強に情熱を駆り立てる.すべて知ることなど無理と分かっていても,知らないでは済まない,知ればもっとよくなる,そうした射幸心が,人生に課題を山積させる.
身近にそうした勉強家を抱える組織は,周囲の社員に影響を及ぼす.上司が勉強家なら,部下も本を買いたくなり,自然と勉強させられる.本は読まれないこの時代,1年で5冊も読む人は,100万人もいないらしい.5冊読めば上位3%,偏差値70以上に入る.冊数をこなすのではなく,同じ本をいつも何度でも研究する人は,この中のほんの一握り,1万人もいないだろう.どうやら本の虫もオタクもマニアも,世の中では希少な存在なのだろう.
何かの専門家になることは,そう敷居の高いことではない.専門知識を仕事に活かすことは,結果が出にくい業種だと稍難しい.私は専門職の職能を増進する立場で,今年も働いていく.社会人の基礎も同時に立て直す.山積する課題をシンプルにし,取り組みやすい形にデザインしておけば,短い時間に伸ばせるはず.読み終えて読まないでいる本は,売ってしまえるくらい身に付ける.それは世間的にも少し高い目標に見える.世秤を心得たこの正月である.

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