Camel Case

　お金の捉え方はいろいろある．働いた代価．固定できる資産．世の問題を解決する手段．天からの回りもの．それぞれあるからこそ，皆が投資をすることにはならない．投資は手段のひとつにすぎない．投資の目的も，投資家それぞれにある．この株の急落で，思わず考えてしまうことが増えた．人生の目的とは．収入や仕事の充実も大きなものだが，それを第一にはできない．それらは虚しいからだ．金の亡者も仕事人間も，世が作った不幸．だからお金も仕事も，人生の目的にしてはいけない．生活の手段にすぎない．
　人生とは生活のこと．そう考えると，生活を第一の目的とすることが，人生の目的である．生活が目的．生活にまつわる価値を整理する．思いつくことは，楽になる，興奮する，楽しむ，学ぶ，達成する，作り出す．生活はたくさんの行動でできている．行動はたくさんの思考によって始まる．思考はたくさんの本によって動き出す．こう考えると，生活の目的はたくさんの本だ．たくさんの本を買うことではなく，たくさんの本からたくさん考えることが，人生の目的である．考えること．それこそ人生の目的だ．
　駱駝が針の穴を通る場合，穴の大きな針を拵えれば通過できる．でも，お金持ちが天国に行くのはどうしても難しい．これはなぜなんだろう．なんの警句なのだろう．お金持ちが良く考える人であることを私は知っている．多くのお金持ちはお金を本に変換してきた人でもある．考える人にお金が集まる時代だから，お金を得るために考えようとする人も多いこの時代．お金持ちが慈善のため寄付する心理には，天国へ行けないことへの恐れがあるだろう．裕福ゆえに取り去られてしまう恵みも多いから，富の蓄積には気を付けている．
　お金が足りない人は不幸ではない．未来へ期待できるから．でも過度な億万長者は不幸だ．死ぬまで自分を守り抜かねばならぬから．収入が安定すれば苦労は消える．安定とは増加も減少もしないことだ．お金の多寡で悩まずに済むということだ．なるほど世には貧乏に転がることを恐れ富に群がる輩がどれほど多いことか．貧乏も金持ちも出ないような社会を築く政策が人間を幸せにするはずである．しかし，お金は娯楽にも殺意にもなる．この社会をもし改善するなら，安定した収入を保障する資本主義をまず考える．