最近長い本を読めなくなった.どこからでも読めるように構成された本しか読めなくなった.例えば,各章に分かれていて,それぞれが独立している本は,疎結合なのでどこから読んでも支障がない.ところが,前の章を受けて展開される本や,1章が数十ページに渡る本は,読めなくなった.かといって読書の量はむしろ増えている.どういうことなのか分析してみる.
分かりやすい背景は,ウェブコンテンツと触れる時間の増加だ.ブログは概して短いし,動画も5分以内に終わるものが多い.メールもSNSの投稿も決して長くない.コンテンツの単位が短くなっている.これに慣れた,という説明だ.メディアは本ばかりでなく,新聞も雑誌も読まない読者にとって,本とウェブとの懸隔は大きくなり,どちらかといえばウェブに軍配が上がる.
それから,考える材料になることだ.読書には目的がある.より良いアウトプットを生みたい,多様なアイデアを受け入れたい,新しい知識を身に付けたい.いろいろある.これらが,本ばかりではなく,ウェブにも多く掲載されるようになり,ウェブだけ読んでいても時間が足りないほどになっている.本と面するまとまった時間を確保することが難しい感じになっている.
それぞれのメディアには特性があると思う.本には本の良さがある,などと云われる.それはそうだ.でも本心は,もっとインプットしてよりよいアウトプットにつなげたいと考える人たちばかりだろう.そうした目的を満たすメディア設計があって良いはずだし,すでになされているデザインを見つける眼が自分には育っていないんだろう.その眼の育成は間違いなくウェブプログラマの糧になる.

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