35歳定年説が流布したのはいつだったか,10年前には学内業界内で囁かれていたはずだ.その定義はさまざま.35歳でプログラマは定年を迎える,35歳を過ぎた人材はそれまで学んだ言語でしか仕事できない,などなど.しかし,2020年の今,35歳を迎えようとする私は,定年説の定義をこう捉えている.35歳までプログラマでやってこられた人間は,その後もずっとプログラマでやっていく人間だ,というわけだ.
34歳の今,明らかな心情として,どんな言語でもやっていけるとの自信がある.結構確たる信念だ.経験した言語は15ほど.多いほうなのかもしれない.でも,多くの人たちは脱落していった.自分も一時期脱落した.でも戻ってきた,コマンドプロンプトとエディタの前に.多くの人は35歳を前に,マネージャーになったり,営業に移ったり,応用して転職サービスなどの運用側に回ったり,起業したりする.でも,プログラムを書いている人間は少ないはずだ.
大卒で就職した同期のうち,今でも仕事でプログラムしか書かない人間は,ほとんどいないのではないか.35歳定年とは,定年後もマネージャーも営業も運用スタッフにも起業もせず,ただプログラムを書いて日常を送る生活を送る人である.それを「送れる」ととるか,「送るしかない」ととるかは勝手だが,前者が多いだろう.35歳までよく耐え抜き,学び続け,運よく成果も挙げた.定年は勲章である.
私は4ヶ月後に35歳になる.どうやらプログラムを書いて飯を食える人間として会社で認知されている.35歳のプログラマは,どんな言語も扱える自信と,生涯をプログラマとして楽しくやっていける展望,そして今後も研鑽を積んで技術を広げていける可能性に,わくわくしている.定年はキャリアを一度終えることだ.35歳でプログラマとして再就職するわけだ.次回の定年,それは天に召されるとき.定年説は危機ではない,その逆である.

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