インプットよりアウトプットが増える年齢となった.自分の頭で考える.しかし,それでは限界があり,理解不能な物事が増えるばかり.やはり知識は大切だということで,本に当たることに.長い休みがないと本は読めないのも実情.あと1週間ある今年の夏休みの課題図書を5冊紹介.
1.インクルーシブHTML+CSS&JavaScript 多様なユーザーニーズに応えるフロントエンドデザインパターン
著者のヘイドン・ピカリング氏に信頼を置いている.ウェブアクセシビリティにおける彼の知見は,私の探し求めていたものを超えてくる.こういう本がほしかった,そう思う.どこでも,どんな端末でも,どんな姿勢でも,身体にどんな特徴を持っていても.姉妹本のコーディングWebアクセシビリティ WAI-ARIAで実現するマルチデバイス環境のWebアプリケーションでは,ボタンひとつ作るために多くのページが割かれる.昔エンジニアになりたての頃,ボタンだけでいいからちゃんと考えて作ってみなさい,と上司に言われたことをいまだに覚えている.
2.Form Design Patterns シンプルでインクルーシブなフォーム制作実践ガイド
ウェブにフォームがなければ,ユーザーは受動的であるしかない.ユーザーが投稿しアップロードし保存し送信し,ウェブを能動的に使えるアプリにしたのは,フォームなのだ.だからデザイナーやエンジニアが使いにくいフォームを作ってしまえば,ユーザーが能動的に使ってくれなくなる.使いにくければ参加せず離れてしまう.この本ではフォームの作り方をフォーム別に紹介している,とても読みやすい本だ.ソースコードもついている.
3.インタフェースデザインのお約束 優れたUXを実現するための101のルール
今やウェブでは,使う部品(コントロール)が出そろい,新しく部品を発明する必要がない時代になった.問題に対し適切に適用し配置することがデザイナーやプログラマの仕事になった.この本は,NGなUIや考え方を命令調で諭す.これさえできていないサイト制作者は手抜き仕事だと繰り返しいう.でも本当にそうだと思えるものばかりで,こんなことも知らなかったんだ自分… と反省させられる.訳者による短い続編もついている.
4.情報アーキテクチャ 見つけやすく理解しやすい情報設計 第4版
見つけやすく探しやすいウェブシステムを作ろうと常々思うので買った本.この本は図書館情報学の最先端の理論で,大学時代に図書館で前の版を読んだことがある.大学で学んだこともあり内容はすっと入るのだが,なにしろ厚いものだから,読むのを避けてきた.この夏休みで最も読みたい本であり,最も読みやすい本でもある.IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザインも類書で,IAの部品パターンを集めた本.私はまだ初心者だと思うので,今日からはじめる情報設計 センスメイキングするための7ステップで基本を押さえ,一から考えるようになりたい.
5.マイクロインタラクション UI/UXデザインの神が宿る細部
こうしてUIやIAの本を読んでくると,やはりいろいろ試行錯誤し作ってみたくなる.自分で考えてやる,そうしがちだ.でも,多くはもうすでにできているか,若干のカスタマイズで収まることがほとんど.この本には秀逸な例がさまざま載っている.ただ,実装方法までは載っていない.真似をすることは罪ではないこの業界で,実装して身に付ける苦労を避けて通っては身にならない.

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