学生時代にこんなことを考えた.論理はAND/ OR/ NOTで組み立てられるのだから,どのような接続詞を知っていても,結局この3演算子で思考は書ける.だとすると,文章を書くときはこの3論理で命題をつなげていけば,恐ろしいほど夥しい思想をアウトプットしきれるのではないか.どんな斬新な命題も,既存の命題をこの3演算子でつないでいけば,機械的に生み出せるのではないか,と.
この部録は恐らくこの思想をもとに,3演算子で,運用している.無限にネタはあるので,今後も書き続けるだろう.文章を3演算子で書くというこの方法は,情報科学の学生にとってはそれほど奇妙なものではない.学生なら誰もが一度は戸惑い,噛み砕き,消化したはずの命題.しかし,学んでも生かす人は限られるのが大学の講義.私にはぴたっとはまった知識になった.
アルゴリズムが逐次/分岐/反復の3種類で充分だという学理もまた,認識を劇的に変える.数学も料理も実験も,手順と名の付く一連の動作だけでなく,思考の組み立て順序がそうなのだから,それに合わせて思考すれば,正しく有効な命題が生産できる.英文法の5文型を習ったときに機械的なシンプルさを味わった人なら,論理演算子も,アルゴリズムの類型も,身に染みるはず.
今では文章になるものにはこうした形式があると分かってから,読むのも書くのも得意になった.少し離れて見聞きすることもできるようになれた.世界と論理について関心を持った高校3年生の秋,ウィトゲンシュタインの論考を3ヶ月かけて読解したときの衝撃と苦悩を,今なら完全に解決できる.自分と格闘して身に付けた関心と知識は,いつの経験でもその後の人生に作用して,趣味と実益を育む.

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