出自を忘れやすい自分のために,書いておく.生まれてすぐに文字に関心を持ったようで,数字やアルファベットはすぐに書けるようになり,漢字も辞典を開いて書いていた.学校のプリントやテストも,枠に文字を書くことがたまらなく好きだった.小学3年の時から,ルーズリーフでデータベースをまとめていた.データが追加されるたび鉛筆と消しゴムで書き直し,ランキングを電卓で計算しひとりで楽しんだ.
小学5年でコンピューターがわが家にやってきて,小学6年で漢字を辞典まるごと覚えることにした.私がコンピューターに抱いた関心は,その記憶能力だった.コンピューターをライバルとして,何でも丸覚えすることに惜しまず努力した.子どもが抱く関心は自由でよいが,私は世相とずれていた.PCがあってもデータベースは相変わらず紙と鉛筆で管理していたし,メモリに負けじと文字を夢中で覚えようとした.
それゆえコンピューターに頼ることは安易なことだと大学に入るまでそう考えていた.事実,大学でプログラミングの腕が上がらなかったのは,コンピューターに物事を処理させることに全く関心を持てなかったからだ.プログラミング言語には尋常でない関心があり,数学が大好きな学生だったのに,コンピューターに処理させるのではなく自分の力で物事を解決すべきだと考えていた.社会人になってIT企業に入ってからもそんな態度だったので,仕事はうまくいかなかった.
私は文字が好きで,本を持つことに文字を集める感覚がある.部録を残すことにも文字を自分の好きなように並べられる感覚がある.やはり世の中の感覚とは,ずれている.それでもある程度自分の技量は,恐らく資格の勉強によって,標準の水準に達したが,自分固有の独特な側面が強い.学習とは内容をそのとおりに覚え理解することではなく,自分の思考環境に取り入れることだと思っている.習得に時間はかかるが,楽しめる方法だと思う.

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