街を訪れると,交差点の角を曲がると突然目を引く建築が現れる.もちろん道路は整備され地図にも載っていて,信号機で交通が整理された街区である.にもかかわらず,自分が好みさえする興味深い建築物が,見知らぬ土地に出現し,ずっと気になって眺める.その眺望といったら.もちろんこれは建築の話ではない.ウェブの話だ.検索語で探し,整備されたリンクを踏むと,突如建築物のようなウェブサイトが見つかり,目を奪われる.
街らしさ.いかにも大切なもののようであるこの概念は,ウェブに導入したい概念だ.街並は建築物や植栽や棲む生物たちの声や色で構成できる総合的な建築だが,ウェブの検索スレッドも,同系列のサイトに相応しいファサードリンクを持つべきだし,それを引き立てる自然な意匠ももっと凝らすべきだと思う.検索機関の結果画面がよりグラフィカルに動画的になる日は近いだろう.
文字を読むことがだんだんなくなってきて,概念を図や絵で理解するようになり,出来事を写真や動画で出会うことが増えて,伝達の手法が進化するほど,どんどん早くなる理解と思考.どこまで向上するかと問うならどこまでもと答えるしかない技術の最新事情.どうやら通信速度の向上とともに,伝達手段は一時的に進化し次々廃れていくだろう,本もブログも,いずれは写真や動画の投稿も.
街を歩くと,道の向こう側に聳える建築物の影.そこで行われるイベントにこれから参加するのだが,いったいどのような展示が待っているのだろう.もちろんウェブの話.ウェブは展示物を持ち帰ることができてしまう.並木道のようなデザインの検索結果画面.それはリコメンドスライダー,あるいは木構造,速度付きネットワークであろうその構造こそ,私たちが新たに整備しようとしている街,その街らしさなのだ.

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