35歳になった.中年の盛り,四捨五入してアラフォーである.普段,年長の方々と何かすることが多く,つい自分は若いと思いがち.でも実際は,人間に歳の差なんてなくて,いつだって若い人は若いし,閉じた人は閉じていて,自分が変わらなければどうしようもないことに気づく.私は反省の少ない人間だが,これだけ多くの年長者がこれほど楽しそうに暮らしている事実の前に,思わず自分の暮らしを反省せずにはおれない.自分はまだまだだと思うことが少ないからだ.
プログラマの腕は,大して高くない.説明がうまいのでもないし,指導もできない.職業上の能力にも疑問符が付く.こうして大したことがない現状を打ち破るべく,今年の夏から技術向上を図ってきた.だが,年長の方々とお話しすると,誰彼の優れた面はもちろん見えるし,敬愛の情や時を楽しむ知恵など,私がまだ持ち得ていない才能や習慣を,この街の人々が具えていることを思うと,やはり私はまだまだ勉強も反省も足りないと思わざるを得ない.
人と比較するなと云われて育った.何も得することがないと教わった.若い頃はそれで良いのかもしれない,けどこの教えだと人からは学べなくなる.人生の問題はひとりで解消するしかなくなる.そうでなくて,人と比較して優れた面や不適切な点を見たら,それを我が事のように受け取り,考える.そうして初めて人から頂けるわけで,そうして初めて人に与える人になれる.人と比較することで自分の位置が測られ,自分が誰なのか,誰になっていけるかが見える.
人との出会いは大切にするように云われて育ってきた.どうして人と会わねばならないか,何のために人と会うのか,分からなかった.しかし今は交わりが持てることが楽しい.やはり人と自分を比べることが楽しい.会う人を自分と同列に置かないことが交友を楽しむコツだとある本に教わったが,将にその通りで,異なる技能や才能,職歴や地位を持って勝ち取った人生を楽しむ人々との出会いは,人生の先を見るヒントとなる.一からすべて見通そうとするのは大変だが,師匠は街の至る所に住んでいる.

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