最近よく思うのだが,定年後かそれに近くなったら,世界の現代文学を読み尽くしたい.読んで感想を部録に書いて,現代がどのような時代だったのか,少しは知ってから天に召されたい.ノーベル文学賞を受賞した作家を中心に単行本を買い漁り,比較文学的視点から考察していきたい.そう思っている.なぜかと云えば,自分が生まれた後の世界の移り変わりに強い関心があるからだ.
学校で習った歴史は,受験期や大学院生の時の時間のある時にひと浚いし,中高時代の知識よりは幾分深くつながっている.しかし,大学の教養科目でも習わなかった時代,つまり冷戦前後からゼロ年代以降の歴史を,私は強い関心で生きてきたにも関わらず,よく知らないでいる.知っているという感覚を持てない.なぜか.その時代の文学を読んでいないのだ.私はいつしか文学から離れてしまった.
いまだに読んできた文学は,高校時代がクライマックスで,明治期や終戦安保の頃のものばかり覚えている.海外文学も,20世紀初頭の欧州で起きた文化的事件は丹念に追ったが,それ以降の作家は指折りしか読んでいない.哲学や評論は読んだが,文学は指折りなのだ.日本の私と同世代の作家の数も,指折りしか買っていない.面白いと思う本は本当にたくさんあるけど,優先して読みたい本が多すぎて負けてしまう.
私は元来文字が好きなので,本も文学も好きで,ある地元の友人は,私が大学は文学部に進むと思っていたらしい.今でも本を開くと,知識の眼と脳がわーっと開いて,恍惚となること屡,文学とてもそうである.と同時に,私は文学を読めないこともよく知っている.想像力の欠如,心理的推論の誤作動,物語の無知.海外文学に挑戦するには私は若すぎるが,同時代の作品なら空気感だけでも掴めそうで期待している節がある.

コメントを残す