35歳になり,半生を振り返る時が増えた.中卒までは義務教育の中で幸福な模範生徒.高卒時は反抗期を拗らせた不良芸術家.大卒時は怠惰な無職男性.院卒時は空気の読めない生意気な半人前社会人.人間こうも変わるものかと嘆息する.結婚し家族ができてから,今の自由な暮らしが始まるのだが,教会やボランティアで人を傷つけてきた気がして,最近漸く自責の念に苦しんでいる.
私は状況を読むことがほとんど全くできない発達障害者だ.知能検査で漫画の駒割りを正しく並べ替える課題が1問も解けず,この分野でIQ 50を叩き出した.重度の知的障害なのである.一方で積木の早立てや記号速記や知識など,IQ 130を超える分野も沢山あり,その最高低差が130を超えていたので,ASDと診断が付いた.ASDだと考えると説明できる半生の出来事が多く,もっと早く知りたかった.
ASDは自分が大変なばかりではなく,家族や上司や交友の関係上,どうしても迷惑を掛けてしまう.能力はあるのにできないことや,できるのに任されないことはいくらもある.普通の人なら努力してできるようになるのだろうけど,私は人一倍努力してやっと努力していない人くらいの力を付けていかねば成長しない.能力の偏りがあるので簡単にできることを仕事にしている.でも,普通のことができないから昇進はない.
自分の得意なことを伸ばす努力法で今の職と収入と地位がある.普通何年も苦労して学ぶことを実に簡単にできるようになった.でも偏りがあることを常に意識しないと,能力の過信につながり危うくなる.今の状態を維持することにも飽きてきた.新しいことに挑戦したいが,全くできないことに挑戦するには時間が足りない.やはりできることを棚卸しし,組み合わせの妙で独自性を探っていきたい.

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