私が就活をしたのは27歳の時.学卒や院卒の際にも少ししたけれど,業界研究は全くせず関心もなかった.入社した会社は3Dプリンタ関連の会社だと思っていたが,事業化までどうやら数年待たされると思い1年目に退職した.それから収入もなく,実家暮らしが続き,結婚して暫くしても,職がない状態が続いていた.私に合う会社はあるだろうか.高収入は望まない.障がい者雇用枠で昇進も出世もせずに穏やかに暮らせる道はないか.思索してきた結果,今の職場に出合った.32歳の時である.
私はどうやら人の気を害する発言を会議で気軽に言えるほど空気が読めない.チームの士気を下げることは得意らしい.天然で癒し系の性格に守られているからか,悪気はないと解されるが,重要なポストには割り当てられない.障がい者でなければすでに職を失っているはずだ.チームで動くことが大の苦手なので,ノリで事業を運営するような新興企業より,古き良き歴史のある大企業の傘の中で一部の専門職として与えられた仕事をこなすほうが,断然,向いている.
今の職場はそういう意味で最適である.仕事は着実にこなしているのでなかなか首にできない.障がい者枠なので組織統計のためにも首にはできない.ましてや人員が慢性的に不足しているので首にはできない.私は外部要因も含めなかなか首にできない立場を作り作られ,仕事量の割に給与の良い虫のいい社員になりつつある.良心が許さない瞬間もあるが,そう簡単に環境は変えられないので,組織のため国民のため家族のためと思い,椅子に座り続けている.私の椅子は丁度いい寸法なのである.
利潤を第一とする一般企業は,肌が合わないというか,勤務のイメージがつかないので,会社員にはなれない.ずっとそうだろう.そんな人材も世の中にはいる.私は一応雇用関係を結んで働いている.今の職場でもう3年目に入る.もっと給与の良いもっと快適な職場はこの街にいろいろある.それは知っている.ただ,私がそこで働いて心地よいかといえばそうとも限らない.隣の芝生はいつも青いけど,その芝生が足に心地よいとは限らない.自分に合う企業であることを第一条件に据える自由はあると思う.

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