多く持つことは,苦痛を呼ぶ.最近この考えを持つようになった.私は昨年年頭にあまり物を買いたくないとこの部録に書いた.案の定,半年は何も買わないも同然だった.買った服は3着ほど.本だって数冊.それでも買いすぎたと考えていた.そうして物欲が満たされて過ごしたものの,それは苦痛でしかなかった.
恐らく,人は買い替えるから買うのである.買い替えたくなくても,買い替えるから買うのである.なぜなら,買うことで得られる数日間の満足が,この社会の暮らしで最も気持ちが良いからだろう.数日間の満足の後は,買ったものは苦痛しか呼ばない.気に入ったものであっても,愛用する習慣がなければ数日間の満足しかもたらさない.
処方箋は2通り.愛用するか,忘れるかだ.愛用できる人なら,いいものと長く暮らせるから,ものも人をも大切にできるだろう.しかし,忘れるなら,どんなにいいものを買っても捨てられる.買うことに関心があるのであって,買ったものに関心はないからだ.買うことが気持ち良いなら,株を買えばよいと思う.
長く生きていると,たくさんもつ羽目になる.いろいろとたくさん持つようになる.だから整理の時間を惜しまずとるべきだ.いるものいらないもの,考えや知恵の磨き上げ,出来事や思いの振り返り.整理するものはいろいろ多い.しかし共通するのは,多くを持つことは苦痛であり,忘れるのは愚かしい.少しで満足していくには,少しを選ぶ整理の勇気を持つことなのだ.

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