音楽,建築,そしてウェブ.共通点は,空間を分けること.グレン・グールド演奏のゴールドベルク変奏曲を聴いていると,ウェブの表現がインスパイアされ,建築的レイアウトを導入する図が浮かぶ.ここで言う建築的とは,私が美術学校にいた頃の,カッコいいが当たり前という時代の,錯綜した繊細なアイデアの累積である.
音楽も建築もウェブも,兼ねて制作する人は多かった.なぜか建築の人たちは音楽とウェブに精通していた.今思えば,それらは空間を分けることがデザインの主眼だからだと思った.物理学でも,空間を分けることは存在する条件であり,万物みな分けられて初めて存在できる.絵画やデッサンの関連も濃いと思う.
空間を分けること.素材,形色,直曲,機能.分けるだけだが考えることはたくさんあり,緊張感と緩慢性との均衡,制約と限りない拡張,目立つ箇所と支える役割.そこに戯曲性があるから物形は多様に生まれ続け,むしろ使う人間のほうこそ変わらない.背の高さ,指の太さ,掌の大きさは,大人ならさして変わらない.
ゴールドベルク変奏曲の旋律を形をイメージして聴いていたら,建築的なさまざまな分け方が浮かんできてメモした.ウェブのワイヤーフレームを考える仕事が進んだのである.やはり私は音楽と建築をウェブデザインに役立てられる人間のようだ.作った経験が少しでもあれば通じていられるというわけか.

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