数学が得意であるとはどういうことか.高校生の時に悩んだ大問題のうちのひとつだ.数学が苦手だわからないつまらないという人たちが,どうしてそうなのか,全く分からなかった.将来数学を教える立場に回るかもしれないから,仕事のため今のうちから考えておいて損はない,と考え悩んだが,結局分からなかったし,分かるわけがないと開き直ってしまい,果ては教師に向いていないことが明らかになってしいた.
このように数学を巡る悩みは今でも発後して,プログラミングができない人や計算をさぼる人をみると,苛立つ代わりに青春の思い悩みが復活する.どうして.数学は才能でもないし誰でも分かる科目のはずなのに,分かる人とそうでない人が出てくる.この現象が私は全く分からないし,この問題はある程度理解しないと納得して死ねない問いのひとつである.何しろいまだに時折考えることがあるのだから.
私は数学が好きだし得意ではあるけど,なぜ数学が得意で,数学が得意とはどんな状態を指すのか,数学の問題をなぜ解くことができるのか,解くとはどういう問題の状態をいうのか.問題には問題が解ける条件がありそうだし,問題が解けるということ自体に数学的構造が潜んでいそう.でなければ,問題を解くとはどういうことかという問題が解けない.解ける問題の条件を調べるには,解けない問題を探す必要がある.
私は解けない問題などないと信じている.だから問題にできる問題は解ける.一度問題化できれば解ける.だから問題が解けるとはどういうことかという問題は解けるはず.まだ大きな未開の平野が至る所に潜んでいる.数学者の人生は長く平坦だ.疑問って大小様々だけど,どんな小さく細かい疑問でも見つけたなら大切にした方が絶対的に良い.人生から暇が去り,歴史につながり,つまり未来を拓くからだ.

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