人に合わせるには,広い教養がいる.そう思うことがよくある.自分の方法に拘らずに人の方法で物事を進めるのだから,自分以外の人の方法を理解する力がいるし,その人の方法を素直に捉えることも重要になる.人が素直であり続けることは難しいとよく聞くけど,その理由はこの辺りにあると思う.人の多くは自分の方法で物事を進めたがる.自分の好きなように生活を回したがる.だから自分の方法が一番だと考える傲慢が本当に頻繁に生じる.
自分に自信がない人や,自分がすべてではないと考える人にとって,自分の方法を確立している人が,時に立派に見えることがある.自分の方法を確立することも,並大抵以上の努力を必要とすることだから.だから,人には努力の方向があることが分かる.自分は自分,人は人.と考えて努力すれば,自分の方法を確立できる捷径が得られるけど,自分の方法で何事も見聞きすることになりかねない.反対に,なるようになると考えて努力すれば,自分が立たず弱くなるかもしれない.
どちらにせよ,どちらの事情も見えることが重要な気がする.時に人は一方向に猛進するほうが,物事の進みが良く評価も得られ自信も強化されるという循環に入れる.しかし,その中で自信が強められたがゆえに,他に方法があることを忘れてしまいかねない.進んできた方角に,他の進み方があることを見てこなかったからだ.多くの進み方があることを知っていると,猛進する人を少し離れて見て,その進み方をある程度分かったうえで合わせることができる.
人に合わせることは,多くの知見と思いやりがいる,高度な態度だ.一方向に進むリーダーをサポートする立場をとる人には欠かせない.協力の理想形である.人に合わせることができない人もこの社会には多くいる.自分の道を精一杯生きていますと云う人だって多くいる.社会の仕事を回しているのは2割の人財であると聞くと,他の人たちは貢献していないように見えるけれども,いろいろな考えを持てる人やどんな立場にも立てる人がどの職場にも確実にいるから,私たちの社会は回っているように思える.

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