文学って何だろう.父は文学部出身である.学生の時たくさん本を読んでおいたそうで,社会科の教諭になった後も指導は好評だったという.私が散策や古典音楽や独学の大切さを教わったのも父からだった.大学生になったら本に投資することや,教育の費用ために自分の欲しいものをほぼ一切買わなかった父の姿を思い出す.父は人格が優れていたのだと今更思う.
きょう地域の遊歩道を散策し思い出したのは父の姿である.私はすっかり忘れていたが,父としばしば散歩に出かけたことがあった.学生の頃実家暮らしだった時期は,それが唯一の楽しみでさえあった.語らいの内容は覚えていないが,将来こうやって生きれば良いとか,希望を与えて励ます内容が多かった.過去に囚われて動けなかった私を解放しようと懸命だったのだろう.
年金保険料が払えなかった時期は父が肩代わりしてくれた.医療費は学費と別に8年間払ってくれた.この2つだけで300万円近くなると思う.私が障害年金を遡及で初めて受給した時の額だ.その他に父は健康を維持するためサプリメントを愛用していたが,介護のお世話にならないためだという.老人ホームが近い場所に引っ越したり,仕組みから損だと知っていながら生命保険に入っていたが,子どもに負担をかけないためだったろう.
父には食事券や株主優待券を手紙とともに年2回くらいのペースで送っている.仕事がうまくいっていること,資産形成もできていること,妻ともうまくいっていることを知らせている.父の良いところは,私自身の良いところを人に指摘されなければわからなかった.私自身の特徴は私の育ちと父の特徴から考えて初めて知れる.私がうまくいっているから父の良さもわかる.ならばもっと早く知るべきだったのかもしれない.
