多くの文学を読むにはどうすればよいか.自分の感想を閉じ込めることだと考えてみる.たくさん読めばたくさん感じることがたまる.それを大事に温めて育てるつもりで文学を読んでいけば自然と感じ方が育つ.しかし,自分の好きな文学だけ読んでいると世界は閉じていく.ひとつの傾向だけに進むのはよろしくない.自分の好きなものを追求すると,異なる世界を排除する主張が強まり偏ってくる.
まだ触れたことがない作品にオープンになることで,時間をかけていれば良いところが見つかることも多い.善悪や好悪の判断はあまり役に立たない.読み手の感性を広く開いて持つ態度,そして感じたことを大事にする.感じ方が痩せ細ってしまって悪趣味に溺れるようではいけない.好きな部分に関するこだわりや,特定の作家のみ堪えうるような読み手には良い表現ができないだろうと思う.
以上は,音楽についてこのようにアドバイスするYouTubeを見たのである.非常に身につまされる.自分の鑑賞態度,合唱に対する姿勢,生み出すものの内容に問題があると感じていたが,その全てがつながって見えてきた.ウェブサイトを作るときも感じ方が重要である.いけばなも,部録も,数学も会話も礼拝もそうである.自分の感じ方を大事に育てていなかったから,いろいろの点で綻びようとしていた.
今これを記録している姿勢を常に持ちたい.これからもいろいろな関心を寄せる本や学問や芸術や職能を鍛えるとき必要になる.知ったように語る芸術家が少ないのも,このような背景があることを想像すると納得する.感性を育てるには時間がかかる.でも,感性は全ての物事の基礎である.感性を育てることは生きることと同値である.働くことも関わることも語ることも.態度の良さが重要だったのだ.
