少ない方が豊かだ,そういう考えもある.例えばスマホを2台持つと,1台よりは用途が広がり便利だ.しかし4台も5台も買うと持っているだけで煩わしくなる.スマホには適切な台数というのがあって,人や使用環境によって異なるだろうけど,ある台までは幸福を増すが,それを超えると幸福感はむしろ下がる.限界効用逓減則である.一般論だが,たくさん持ち過ぎているなら売った方が良いだろう.
いくつも予備を買う人がいる.靴が壊れた時のための予備の靴.鞄を無くした時のための予備の鞄.この考えだと部屋に予備の物が溢れかねない.壊れた時は重宝する,けど壊れる確率はかなり低いのではないか.別のもので代替できないか.スニーカーが壊れても通勤用の革靴で良いのではないか.リュックサックが壊れても買い物用のトートバッグで良いのではないか.こだわりが買い置きさせるのだろうか.
物を増やし過ぎないことは重要である.物が多いと心も乱れる.少ない点数ですっきり穏やかに暮らせた方が良いのだ.本だってできるだけ少なく読むのが良い.多くを読んだ人は多く読んでしまった人で,本当は少なく読んで応用した人こそが賢い人物である.服も少なく持っていた方が良い.服を多く管理するには手間と時間と場所がいる.裕福な人は服を多く持つ.物持ちの良さも表れるだろう.
多くのジャンルを少なく持つのが良いか,少ないジャンルを多く持つのが良いか.私の中で未だ答えが出ない問題である.私は後者の生活である.本と服と音楽とデバイス.それ以外の趣味はない.それだけで充分豊かに暮らせている.でも少ないジャンルを少なく持ったって豊かに暮らせるのだと思えてきた.もう少し減らしてもたくさん持つことになる.心の容積は狭くないからだ.もっと吸収してしまいたい.
