読みたい本をいざ読もうとすると,読める時間が足りなくて困る.疲れたり眠たくなったりで,思ったほど読む時間を確保できない.集中力は持続するものの,睡魔が襲ってきて,読書を中断させる.そうして小一時間眠っていると,起きしな日常の雑事が舞い込んできて,その日の読書がごたごたの中で終わってしまう.書斎の本棚は読みたい本を本当に多く持っているのに,満足に読めている本はまだ1割程度しかない.
尤も,今すぐ読むために買ったのではない本も多い.数年前に文庫が絶版になることを知った.文庫はずっと読み継がれるのでいつまでも廃番にならないものだと思っていただけに,たった3年前の文庫が今では絶版になっているものが多く見つかったことには愕いた.それ以来,老後に読みたい文庫も含め,売っているうちに買おうと,今は絶対に読めない量の文庫を昨年買い置いた.書斎の本棚は200冊余りの文庫で溢れている.
今とても読めないが老後に読み,書評も書きたいと考えている.そんな本が多くあるので,老後も暇を持て余さずに過ごせる自信に繋がる.老後の安心を買ったようなものだ.そして,いつまでも興味と好奇心を持続させて生きられる.読むだけでなく,書くために読むので,神経も老化しにくいだろう.このように,大量の文庫を若いうちに買っておいたことで,意外にも利益が多く得られたのである.
書斎にいると集中力が持続する.他の場所,例えば職場やお店よりも,集中できる.おそらく読みたい本がたくさんあるからだ.いや,読みたい本を読みたいまま放置しているからだ.買って数日経つと読みたい気持ちが萎えるという.私も昔はそうだった.しかし今は読みたい気持ちが年単位で持続している.もっと研究したい.その気持ちを抑えつつ,日々の雑事と向き合いながら日に数頁の読書を進めている.
