財産形成に興味を失ってからというもの,次なる関心の寄せどころを模索していたが,どうやら文学に落ち着いた.1週間で短編中編合わせて6本読み終えることができ,読後感も最高の贅沢を味わっている状態なので,しばらくあるいはずっと小説を読むことにした.書斎には買ったけど読んでいない文庫が多く並んでおり,やっとその1冊ごとの世界観を知れる時が来たと,やや興奮気味の気分に占められている.
現代の小説は刺激が適度に多く,読んでいて飽きないのは,やはり作家の技量の上達であることをひしひし感じる.200年前のフランス文学を読んでみると,なにやら人間を謳歌すると広告されているが中身はそうでもなく,昔はこの話であっても当然ではなかったのだと勘繰りたくなる.今の時代がいかに複雑でまた恵まれているかということ.特にSDGsに集約される整理済みの世界課題一覧はよくできている.
原著に当たることを超え難い壁に感じる人もいるそうだ.私も昔はこと文学においてはそうだった.世界文学全集なるものに関心はあっても1頁だに繰らなかった.しかし,今この36歳の私には,原著を等身大に観賞できる.作家の執筆当時の年齢が私より若い場合も多々遭遇するのだ.そうした作品は36歳の私には充分読める.よく何度読んでも引き出せる印象が変わるというけど,それは余程の良書なのだろう.
本を1字1句事細かに再読する向きも大いにあるけど,今は物語数を多くこなしたいと思う.毎月最低でも1,000円分は文庫を買うことにし,今も読んでおきたい文庫がたくさんお気に入り登録されている.この文学生活はそれほどお金はかからないし,受けたイメージをありありと記憶に収めることもでき保存性も高い.古今東西の大文学者の作品を通じて感得できるものがあるなら,それは人生において貴重なものだ.
