自分の好きなように生きたいと誰もが思っている.これは認める.でも,それを実現するために蓄財したり退職したり環境を変えてみたりと,色々な勧めがあるけど,その通りに実行したって完全に好きなようには生きられないというのが私の感想だ.好きなように時間を使うには労働から解放されるべきだという考えには賛同できない.お金や空間なら好きなように使うことができるし,今もそうしているけど.
時間を自分の好きなことに使うために仕事を辞めることができる人は,少なからず,今の仕事が嫌な人である.嫌な上司がいるのだろうか,できすぎる部下がいるのだろうか.給与が低く家族から詰られているのだろうか.そうだとすれば,辞める他にも方法はある.すぐに退職して自由に暮らすと張り切っても,会社との関係を切ってしまったら孤独が襲うのではないか.それで好きに暮らせるなんて本当なのか.
私は好きなように時間を使うためには,少しばかりの拘束が必要と思っている.平日4〜5日間の8時間労働がちょうどよいと感じる.それ以外の時間は自由に使えるとすれば,めりはりがついて余程楽しめる.さらに,1年を通して繁忙期があると,仕事に楽しみを覚える.あまり仕事上の楽しみを増やしたくないので,1年の間に2〜3ヶ月は忙しい時期を送りたい.この願いが悉く叶っているのが今の職場なのだ.
FIREは,一般的な選択肢に過ぎないし,ひとつの方法に過ぎない.誰もがFIREで幸せな人生になるかといえばそうでもないだろう.私はFIREに希望を置かない.今の職場でなんとか定年まで勤続できることに希望を置く.60歳を過ぎた後のことは今考えても無駄だが,健康でいられればまだ色々できることは多いのではないか.そういうわけで,健康と趣味を大切に,ぼちぼちと働いているこのわが身である.
