新しい状況が訪れた.ボーナスの話題になった時,私は一度もボーナスなるものをいただいたことがなく,今の職場にいる限り,生涯もらえないことが保証されている.そのことを思うと,私が高い給与で働いているなんて私の幻想で,世の中の人はもっともらっていることが判明した.今年の私の年収は,世間の同年代で見ると中央値以下であり,私の給与が多いだなんてとても言えないことがわかってしまった.
今までは,年収300万円ももらっているのは高給だと思っていた.だがそれは20代までの話.というのも私の20代は月収8万円の時代なので,今の職場に転職した時とても多く感じたものだった.しかし,36歳の今,年収300万円はとても多い方ではない.ボーナスも退職金も出ない契約.安いのだ.私の同級生は倍以上もらっている人がほとんどであろう.私の給与は同級生の最底辺に近いのではないかと思う.
いくら勉強しても収入には結びつかないという実感を持つのだが,これは私くらいなのかも知れない.本当は勉強しただけ収入が上がるものなのかも知れない.私は好きで数学や哲学や宇宙論をやってきたけど,お金にならない分野だとは言われているけど,人生においてお金の優先順位を低くおいてきたので今までなんとも思わなかった.でも,今私が安いことが判明し,少し考えを変えようと思う.
私の20代である月収8万円の暮らしは大層幸せなものだった.安いことを誇りにさえ思ってきた.今,私の給与は安い.そして仕事は簡単すぎてどんなにやってみてもやりがいは得られない.この安くて楽な人生を大肯定しもっと楽しめないかと思案してみたい.20代のような安くて幸福な時代が今も続いていると考えるのだ.ただ,私より安い人もたくさんいる.なので少し控えめに謳歌することも忘れない.
