給与は増えないし,資産も大して増えない.でも,増えていくものがある.知識や経験など見えないものだ.思考は見識になる.それを続けて探究していくことを研鑽というのだろうし,人間に必要なことは全て見えないものなのだとすれば,見えないものを得るためにお金を使っているといえる.家賃や健康のための食料や生活に必須の水光熱費には一定額がかかるけど,それらのために働いているのでは考えが窮屈すぎる.
生活費のために働いていては窮屈だから,自然と次のような考えに至る.すなわち,生活の内実のために働いていると.単に生活するためだけでなく,よく生きるために働いているということだ.物を買うだけのためではなく,生活に必要な経費を賄うためだけでもなく,時間をかけて育てる必要のある目に見えないもののために働くことを利用する,それくらいの構えで働いたって全然いいということだ.
楽しく過ごすには,今の暮らしで充分である.でも,労働が辛くなってくるのは必定.だが,こうして思考を転換すれば,楽しく働けるだろうから,仕事に意味が出てくる.目的も持てる.生活にも仕事にも,目標が立つ.給与や資産のために働いていた時には考えもつかなかったような,実に豊かな報酬を,私はこれから受けられそうな気がする.それらは私の思考や信仰によって獲得できる私だけのものだ.
今はこうして漠然としか捉えられない.でも,いつか必ずしっかり捉えられると思う.私の周りには既に持って生きている模範人が多くいる.今は私の貧しさに自分で驚くばかりだが,今までは見えなかったもの,獲得できていなかったものを,今まで多くの話を聞く中で与えられてきた.これからしばらく,それらの話を振り返ってよく聞き,考え直し,捉えなおせば,この恵まれた環境にいるので獲得できるはずだ.
