株式を放置して半年.服は買い置きする癖がついた.楽譜もこれ以上増やさなくたって楽しむには充分.もう買わないと宣言したほうがすっきりする物で溢れている.買い溜めているのが恥ずかしくなるくらい集まってしまった書斎.買うとは思考の節約で,作ることの放棄である.自分でしないかできないから買うのである.従って,多くを持っているのは恥ずかしいことなので,もっとできるようになるために持っている.
服も本も,もう買わないと思っても買ってしまうから,これは致し方ない.増えていく物だと割り切る.その増えていくという意識さえ持っていなかったのは戒める.重要なのは,服も本も,そこからどのくらい効用を得たか,どのような効用を得ているかである.つまり,その服や本を買うことで何を得たかということだ.服や本を買うことでただその服や本を得ただけなら,その服や本でなくたって構わないではないか.
その服や本でなくてはならなかった理由がまずある.そして,買った後使ううちに得たことがあるはず.そして,それらが以降の自分の生活にどのように影響していったかを見ていくと良いのだろう.今私はこれ以上ないくらい豊かだが,単に服や本をたくさん買いすぎているからだと見える.たくさん買えばそれは幸せにもなるだろう.でも,それこそいわゆる物質的な豊かさにすぎない.これは日本のお家芸でもある.
知識をどのくらい積み上げられるか.満足をどれだけ深められるか.人生には試すべき問題がいくつも見つかる.これらを見つける過程には,買い物がいることもあるだろう.しかし,人生で長持ちするのは買い物ではなく,効用を得ること,すなわち練習や訓練や習慣の方であって,買うことではない.買える量は限られている.問題は買い物の有限性の中でどのくらい効用を得たかを考え,買い物の最適な頻度を見出すことだ.
