今までこの部録で書き溜めていたテーマは,自己把握であるといえる.何をここまでこだわって考え抜いてきたかといえば,理解できないままにしておきたくないという私の特性が動機である.何か情報に接すると,何か引っかかることがあり考えるのだが,ここまでは正常である.しかし,私はその後,わからないことがある状態,靄のかかった状態,晴れない状態を強く嫌うので,ある程度考えをまとめて書いてしまうのだ.
これは私の短所であり,白黒つけないことは私の数少ない「嫌いなこと」である.部録をここまで書き溜めてきた中で文章にまとめることが早くできるようになったので,短所は長所である.しかし,この活動は私が何か読書したり動画をみるたびに継続するほかない習慣である.この部録のように書き残す活動はいつまでも続くだろう.情報を入手した時にまず考える目的はいつも同じ,自分を把握することである.
自分を通すことは,知識を形成するおそらく唯一の手段である.自分のことばかり考えるというのではない.自分以外の人たちをよく捉えるために,自分を通して考えるのである.私も自分に興味がある一人だ.でも,自分より誰かのことの方が関心が強い.自分のことなんてそれほど追究したいと思わない.私は宇宙とか脳神経とか数とか神にほぼ常に関心を向けていて,いつか全て知れたらいいんだけどなと思って生きている.
私自身をよく理解することは,知性を活かして生きる有効な方法であると思う.毎日情報を取捨選択していく中で,自分は変化し続ける.私は,自分を通して物事を見ることが有効だと思っているけど,もちろんまた別の知的習慣を持つ人はたくさんいると思う.それでも,私はこの方法が自分に合っていると思うし,自分で編み出した方法こそ自分に無理なく合うのだから,この習慣を続けていきたいとそう思うのだ.
