むかし図書館員になりたがっていたころ,辞典を何度か通読した経験が私を強く広く学問させた.あらゆる学問に通じたいとの思いが,ひょっとしたら実現できるかもしれない.いまでは幾分実現したことだ.ウェブで拾った情報はすぐに書き残す読書法を続けている.「神のものは神に,ウェブのものはウェブに.」
本を1冊身に付けるのだって大変だといまの職場で聞いた.辞典を単純に暗記し語彙を記憶するだけなら,おそらくたやすい.しかし技術である.辞典に含まれるすべての語彙を柔軟に使えるようになる,そのようなことは誰もできない.技術を本から学ぶことはたいへんで難しいとの文脈だった.
できることだけでいろいろやっていくのは簡単で,進歩がない労働者はみなこのようである.ピカソはいつも自分のできないことをやっていたという.できることをしっかり身につけるだけではなくて,知らないこと新しいことをやり続けるのが仕事だという.基礎が大事になってくるわけだ.
ウェブに知識がすべて詰まっているので,情報検索の仕方によっては誰でも博覧強記になれる.単語を覚えれば知識を記憶する必要がなくなり,覚えた単語の分だけ,検索した分だけ,知識を得られる.博覧強記の実質が大きく変わったが,それを言語に表現できかねるほどの変化が今後も起きそうで,博覧強記史ができそうであるが,その変化を経験できる時代に生きることができて嬉しい限りである.
