私は自分を大切にできなかった人間だ.クリスチャンになって30代を迎え始めた頃まで,自分を苛めていて誰の手にも負えなかった.もちろん発達障害や精神病を患っていたこともあり,薬を使って病気や副作用と付き合ってきたのだが,自分の幸せや楽しさを追求しようと考えたことが全くなく,何のために生きようか考える前に死ぬ手段を選ぼうとする人間だった.とにかく死にたかった.死ねればそれで終わりだが.
色々あって今は幸せに生きている.絶望の欠片など微塵も持っていない.妻と出会ってから,信仰と仕事と趣味を得られた.今取り戻そうと思う間もなくむしろ時間が足りないくらい.辛さを感じるのも通り越した15年余りの暗黒時代が反転し,光と美と華やかさに覆われた恵みの時代が開幕した.失ったものはある.負のエネルギーである.それは芸術と親和性がある.でも,明るいエネルギーで生み出せればその方が良い.
今,この国は不況や低収入や天災など,明るいニュースが少ない時代といわれる.でも,ニュースが暗いものばかりなのは,商業的な戦術でしかない.インフラが整っていて,ものはおいしいし治安は良いし,少し余裕ができるくらいの賃金が保障されている.これほど生きやすい国はない.この国の未来,例えば70年後であっても,7千万人くらいの人口は保たれるという.高齢者が半分以上であるが,充分と思う.
メディアから離れ,自分で情報を選ぶようになって,生活が改善した.知りたいことややってみたいことに次々取り組んでみるうち,自分を大事にする術を学べた.テレビも新聞も広告からも離れたことが,これほど自分が変わる要因になったとは.もっと早く気づくべきだった.今私が若者だったらもっと違った青春だったと思うと苦しいが,今を生きている恵みに比べれば大した話題ではない.今までの全てを感謝している.
