WEBコーディングでも,CGプログラミングでもそうだけど,何でも自分で定義していかないと世界を作れない.誰かの作ったコードを使うときも,自分の言語に置き換えて使わないといけない.変数名や関数名は自分で決めなくてはいけないし,決めたら自分のプログラムでその名前をずっと使う.私は職場でほとんどの場合ひとりで開発しているので,自分で定義して世界を作り上げることを仕事としている.
しかし,ふと思う.これって生活でも同じではないのか.何でも自分で定義して生活を作っているではないか.誰かが決めた仕組みのもとで動いているが,何もかも誰かの決めた通りに,その範囲の中で,生きているのではない.自分が生きていくためには自分で定義して決めていくことが少なくともいくつもあり,それを自分の生活と言っている.誰かが作ったものを使うときも,自分の世界に取り込むのだ.
こう考えたのは,私が誰かに決められたもののなかでしか生きられないと,若い頃絶望していたことを思い出したからだ.自由な環境を与えられても,少しも自由がなかった私の若かりし頃.プログラミングを通じて,私は誰かの作ったものを自分の思うように組み立てて,自分だけの世界を作り出し,それでお金をもらうような仕事もあることを発見できた.大きく言えば,プログラミングが私を救ってくれたのだ.
今でこそ自由に生きている私である.何の柵もない街で,誰の足枷もなく,楔を挿す人もいない.全部自分の責任.でも人生ってそうだ.誰でも誰かの下で生きているのではない.誰かに責任を全て負わせられる立場なんてない.自分の生活は自分で責任を持つ.だから誰でも自分で定義して世界を作り上げている.互いに理解することは少ないけど,それで自分の世界を守れているならそれでうまくいっていると思う.
