人間は,反転する.昔は組織に縛られず自由に行動する学生だったが,今は上司の度重なる上下関係の指導により,全て指示を受けてからでないと動かなくなった.自発的に動いてはいけないことになっているので,自分の考えを仕事にできないし,仕事で楽しさや幸せは得られていない.また,昔は天然な男子だったが,今は何も考えてこなかった分,愚かな言動を繰り返す一匹狼として職場で浮くようになってしまった.
自分は変わる.良くも悪くも,変わってしまう.変わるということは成長しているということ.良い方向ではなく,望ましい方向でもないけど,自分やその周りの環境にいる中で最も自然な方向に変わっていくので,それに任せている.もし私の若い時を知る人に今再会したとしたら,すっかり変わってしまった私を残念に思うかもしれない.というのも,私は昔の自分がどうだったか全く忘れてしまっているからだ.
成長の方向には,パターンがある.それは反転だ.180°変わるということである.45°とか90°変わることは稀で,真逆の方向に成長することが多い気がする.自分でも,まさかこの性質が反転するとは思わなかったということもある.自分の中でいつまでも変わらないと思ってきた性質が反転してしまう.残念で悲しいことでもあるけど,仕方ない.生きる上で変えなければ行かれない性質だったことを意味する.
私の性質の変化は,老化でもある.いや,老いは成長でもある.環境に適応するために変化するのは生命の使命,運命であると正当化できる.その環境に置かれることは,半分選べるが半分はそうでない.全く全てを完璧に選択し続けられる人はいるだろうか.人生には望まない選択や誤った選択をすることも多い.その後の適応によって人間は変化する.昔に比べ失われてしまった性質も,達者になる性質も,私である.
