火曜は仕事を在宅にして,日報を書いたらすぐに書斎の傍らにあるキーボードの椅子に腰を移す.練習中の楽譜を置き,前回までに教わったことを復習する.音程やリズムはその通りに再現し,わからないところはキーボードで音程を回復する.前回の練習でスマホに残したメモを読み,姿勢や舌形など,譜面に書かれていない基本的なところも頭に入れ,前回の練習を再現する.もちろん,ひとりでできることは限界がある.
復習に気分が乗ってくると,頭は音楽でいっぱいになる.これが復習の目的.公会堂までの徒歩の道のりをいかに音楽で満たして歩けるかが勝負である.というのも私はまだ経験が浅いからか音楽を正しく覚えていられない.まだ歌詞を完璧に覚えた曲はない.旋律を正しく覚えた曲もない.今回の歌は暗譜で発表することになっている.できるだけ覚えて誦じられるようでなくては.求められている壁が高く感じる.
小1時間キーボードで満足したところで,大抵喉が乾いているので,軽く食事し,龍角散ダイレクトで喉の潤いを保証する.マスクは合唱用に顎が軽く開けるものを選定し,服は柔軟体操に対応した動きやすいものを選ぶ.とはいえ合唱団のメンバーから見て溶け込めるような目立たない服装を心がける.キーボードの電源を切って楽譜を鞄にしまって出発.公会堂までの30分の道のりを,脳内音楽で百回は反復する.
8割方覚えた状態で公会堂に到着する.出席表に丸をつけ,体温を計測し資料を頂き,会場に入る.いつもながら,しんとした立派な空間.徐々にメンバーが遠方から集ってくる.ピアノを出す当番はないので有志で運び,位置を調整する.近くのメンバーと軽く語らい,親睦を深める.18時30分に監督が登場.いよいよ始まるいつもの練習.神に感謝する瞬間.練習後の酔ったように幸福な帰路が今夜もやって来るのだから.
