今まで私は人に褒め称えられるような存在として生きてきた.小学生の頃から成績が良く,国立大学生の後,大学院で理転し,独学でWEB開発を学び職業にした.誰かと比べてはいけないと親に教え込まれたので,自分がどの位置にいるかわからず苦労したが,今自分がどんな存在なのかと考えると,良くわからない.頭が良くても別にいいことはないように思うし,これ以上頭を鍛えたいという欲求はもうない.
このままでは別に何もしないので,頭の良さも衰えてしまう気がする.仕事の能力を高めることには努力の動機が持てない.お金持ちになりたいとも思えないので行動することもない.時間が何よりも大事だとももう思わないので何もしない時間を積極的に持つだろう.私はもうこれ以上成長しないのだろうか,何か進み過ぎた分を均衡するための時間が必要なのだろうか,そのほうが地が固まり落ち着くのだろうか.
ついこの昨夏,書斎の必要なものを整理し,多額の節約も進んでいる.自分に好きなことが良くわかったし,必要な物も理解した.それで今後の人生が困らないところまできた,はずだった.ところが,どうやら持っていることに胡座をかいてやりたいことをしてこなかったことが浮かび上がってきた.自分のやりたいことを行うために物を減らしたのに,やりたいことをやろうと思えるほど今に不満がないのだ.
満足は一時的なものだろうか.このまま暮らしていてもいずれまた火が点くのだろうか.私は今までずっと燃えるように取り組んできた人間なので,今は燃え尽きてしまっているような気もする.すると,この満足は良いものだとも限らない.なんとなく,いろいろな人に期待を持たれてそれに応えてきた半生だったような気もする.私が今本当にやりたいことって,今求めていることって,本当に,何なのだろう.
