資産が1,000万円に上ったのはもう1年前のことになる.それ以来私はお金について悩むようになった.こんなにたくさん持っていられないという恐怖が募り,どうにかして散財するか,売らずに持っていて増えるなら増えよ減るなら減るよう放置することを考え,後者を選んだ.その結果,株価の暴落とともに私の資産は減り続けた.今では400万円付近を動いている.それでも充分多い印象だ.
1,000万円の大金を35歳で持つことができたのは,私の人生の中でも達成点のひとつである.別に何をしたわけではないが,それほどの大金を持てる人はそんなに多くない.人口の1割くらいらしいので,街を歩く人の10人に1人くらいしかいないことになる.かなりの達成である.SNSで見ると1,000万円の資産を持つ人だらけのように感じられるが,それを商売にしている人も多いので誤解しないようにしたい.
1,000万円を持ってみて感じたのは,端的に,そんなにいらないということだ.数百万円で充分であり,余り大金を持つと今度はそれを守るために大変な労力を要する.維持するにはインデックス投資に移せば楽であるが,株式で持っていた私は一度売らなければならず,売って大金を得る経験に乏しかったので実行できなかった.もし今度再び株価が上昇したら,間違いなく欲を欠かず売って移す.
1,000万円を持ってみて,お金がそんなにいらないことを悟ることができた.お金をもっと増やそうと思えなかったのだ.2,000万円など怖くて持っていられない.20年後30年後だったら気持ちの準備ができているかもしれないが,30代の今は.今の適正額は数百万円であり,それ以上持つべきではないと思う.自分を制限すると気持ちが自由になる.そろそろお金について悩むのをやめても良いかもしれない.
