大学での思い出は余りない.数学の本を夜通し読む生活だったので,数学の知識はたくさん身についたが,本務の図書館情報学の講義は面白いと思わなかった.1年留年した.同級生たちも私と異なりすぎて親しくなれなかった.地方の中堅進学校の最優秀生徒が集まったような印象で,教室に違和感なく着席する光景が信じられなかった.トップ校を中退し働こうと考えた私のような高校生活を過ごした人はいなかった.
大学の講義が高校と同じような教室で行われることにまず絶望した.チャイムがあることにも慣れなかった.講義の量もそこで伝えられる知識の量も,当時は大したことないと思っていたが,今考えると大学ほど多くの知識を教わった場所は他にない.高校の知識なんて大学の1割もない.高校をまともに出ていない私のような人間でも1留したが卒業できたので,勉強はいつ始めても良いことはよくわかる.
今,高校の課程をもう一度学び直そうかと考えている.進学校の生徒ではない人くらいの水準の授業なら,どうやらすでに履修済みだ.一応私でも高校を卒業しているから.標準的な偏差値の高校の課程なら,私も修めている.しかし,偏差値の高い大学に進学し国家公務員になるほどの人が受けた授業ほど,私は学んでいない.高校を転学したので知識が抜けているのだ.学校を替えるとこういうことが起こる.
高校の学び直しは,私には不要かもしれない.でも基礎知識の抜け落ちが最近気になる.大学の知識でもいいかもしれない.学び直しとか入門とか,そういう本に当たってみようかと思う.極めたと思っている数学についても,基礎に近いところをもっと深く広く学んでみたいと思っている.古典文学にももっと色々な作品に親しみたい.興味があるところいつでも学べる.それを知っているだけでいいのかもしれない.
