きょうは有休を取って地裁まで裁判を傍聴してきた.審理2件と判決2件の計4件を見てきた.裁判の傍聴は初めてで,久々に緊張もした.4件とも民事ではなく刑事事件だった.殺人,恐喝,道交法違反,未成年犯罪であった.感想は,どの被告も100%悪いわけではなくて,弱さや無知,或いは知能などの生まれ持ったものが,彼らに法を犯させていたと思った.法曹たちの審問の鋭さや中立的な弁論はさすがだと思った.
殺人の件は,大手メーカーの男性会社員が休職中に妻を殺害してしまった事件.統合失調症様妄想と重度のうつ病が犯行の原因だと感じられた.検察側は懲役13年としたが,弁護側は無罪を主張し,私は後者だと信じている.恐喝の件は,オンラインゲームでシングルマザーと出会い,その子供が可哀想で援助していた男性が被告.彼女がパートナーを作ったので今までの支援が無駄になり,示談金200万円を要求したという.
いずれもそれまでの経緯の説明を聞いていると,自然な流れとも思えた.特に,社会的な小さなインシデントが後の大きな結果に影響を与えているケースがほとんど.殺人の被告は精神病の罹患前は温厚な夫であり真面目に働く市民だった.恐喝の被告も窃盗の前科があったが,出所後は建設現場の監督として働き,生計を成り立たせていて,今回の裁判後も職場に戻ってきてほしいと言われるほど信頼されている人物だった.
道交法違反の若者も,5回目の無免許ツーリングで逮捕拘留されたが,道交法についての意識の希薄さを理由にされていた.未成年の件は,10代の女性で,振り込め詐欺のグループに知らぬ間に利用されていた.いずれも無知が原因であるように思った.悪を犯す人は悪人であろうか,むしろ貧困や重病や無知,そして人間的感情が犯罪に走らせただけのように思う.本当の悪人は,きょうのこれらの法廷にはいなかった.
