みなとみらいへコンサートを聴きに行った.バッハコレギウムジャパンの演奏会.牧師と教会奏楽者2名の4名で参加した.素晴らしい時間だった.牧師は言語表現に長けた人で,音の響きを分析したり,比喩を用いて感想を述べていて,さすがすごいと思った.一方,私は感想を訊かれても「よかった」としか言えなかった.そう,私は言語表現ができない.言語表現のIQが80台しかない.IQ大事.帰途,思うところがあった.
高校2年の時,修学旅行先がこのみなとみらいだった.男女混合のグループ行動だったが,私のグループはばらばらに行動した.私が単独行動したからだった.会話せよといっても何を話すのだろう,街を歩きながらひとり人生を考えたい,そう思っていた.それから10年.私は結婚した.そして今再びみなとみらいを歩いた.やはり私は会話ができない.ひとりで歩きたいと思う.むしろその傾向は強化され,個性になった.
私が結婚する前,知能検査をした.積木や記号ではIQ 180の高得点を記録した.しかし,絵画完成や漫画のコマ並べでは無得点,動作性IQが知的障がいに近い得点しかなく,差が大きいことから重度の発達障がいと診断が決まった.納得した.中高生のうちの4年間,喋らなかったことや,今の職場で英語や日本語で文章を書けども上司に直され続けていること,今日の感想を咄嗟に言えなかったこと.全てに説明がつく.
高校の同級生には迷惑をかけた.心に傷をつけたかもしれない.申し訳ないと思う.でも,私のおそらくは先天的な能力の不均衡のせいなら,私にもどうすることもできない.このように書き言葉で部録を書くことは,訓練の甲斐か,何とかできている.でも,表現することが苦手なことは変わらない.努力して人並みにしかならないことを仕事にしなかったのは幸いだったが,言語は人生に必須だから努力のしがいがあることだ.
