職場で休憩中に検定の勉強の話が出た.自分と本との関係は神や妻の次くらいに大切なので,考えこんでしまった.いままで本との出会いによって,ふつうに教育を受けていては体験できないことを経験し,いまの自分の個性や職能に活きている.それは例えば中国語やギリシャ語を読めることだったり,デザインを考えられることだったり,英語でWeb開発の勉強を進められたことである.本がなければ,人生に活力はなかったし,色彩も味もなかった.
私が出会った本といえば,辞典,工作工芸,音楽理論,数学や物理,哲学の本,最近はウェブ開発の洋書である.中でも辞典と数学と哲学の本は好きで,通勤鞄に携帯している.1文ずつ線条的に理解しながら読むだけが読書ではないことを述べてみたい.
辞典は1項目ずつ読み,分からなければHTMLのアンカーのように飛ぶ.このように読んでいるからHTMLが好きなのだろう.数学は文字を代入したり,知っている式を連想したり,値を入れて想像したり,つまり計算しながら読む.哲学はとことん線条的に読む.読み方は多様だが,多様に読める本が好きだ.文字が好きだが,単語の意味も好きで,文中の語句の目新しい接続も好きだ.うまい1文に触れたときは一読して覚え,思索の空間に投げ込んで,数日間幸福になる.
検定試験の対策本は,知識がすっきり整理され,読んでいて確かに楽しい.知識がつくとは問題が解けることと考えれば,検定に魅力を感じてしまえる.開発者は資格試験が多い職種とはいえ,検定をこれからも受けていくのであれば,開発者を続けていく動機を検定受験に求めれば,検定料も高くない.技術を買うには勉強を持続させてくれる検定や職場が重要だが,現在の環境はそれが満たされており,最新のWeb技術に親しめていることに感謝している.
