動機を失っただけだろうか.最近,趣味の時間が短くなった.1日で1時間も取れてない.買い出しがてらのウォーキング,YouTubeを見て聴いて,書斎を少しだけ整理して,それで大体終わってしまう.できることが減ったのではない.やりたいことがなくなっているのでもない.単に,もっと幸せになりたいという欲求が相当低い水準に留まっているのだ.あるいはゼロに向けて落ち消えていっていると言ってもいい.
ともかく,欲が消えている.欲が消え去ることはないと言われる.確かに私も獲得したものを大切にしようとする欲は働く.これはイナーシャすなわち慣性のようなものであり,健康に生きたいとか食事に気をつけようとかたまには長く歩こうとか,習慣になった行動はやめずに続いている.しかし,新たに全く楽しいことを見つけようと思うことがほぼなくなった.自分にとって全く新しいことに興味が持てないのだ.
なぜかといえば,今興味のあることが,時間をかけても極め尽くせない種類のものだと悟ったからだ.声楽,ディープラーニング,海外古典文学.今関心を持って時間をかけたいと思っている趣味のひとつひとつが,どれも人生をかけて取り組み続けても終焉しない.そのくらい価値のある趣味を選べて身につけられたということでもある.だからこれは達成である.人生の成功である.好ましい生き方をする人間になれたのだ.
若い時に大病したために,老後も健康に過ごしたいという欲がある.痛い手術や辛い治療や弱る入院は避けたいと思っている.なので,今のうちから健康でいられる時間を長くする知恵を覚えておきたいと思う.私は37歳だが20代の学生さんと言われることがある.多分その辺りに生きる意味や嬉しさが隠れている気がする.なんのために長生きしたいか,あまりよく考えていないままである.長生きして何をしたいか,だ.
