多灯1日目.天井照明を換え,さらに直線的な間接照明を設置した.初めて書斎に灯りが複数あることになる.今まではただ照度を稼ぐ機能だけのシーリングライトを使ってきた.それで幸せだった.しかし,情緒的に内面を探索するには向かず,表面的な幸福に留まっていた気がする.就寝前を自省する時間にしたいと思い,思い切って数万円払って多灯にし,その上で早速Spotifyを始め,気に入っている哲学書を読んだ.
ヨルシカやYOASOBIの音楽が流れる中,國分功一郎の「傷と運命」という論文を読み切った.記憶とストレスを説明する理論の話.Spotifyではゴールドベルク変奏曲を30演奏余りブックマークし,イゴール・レヴィットのピアノ演奏をかけつつ,その哲学論文から考えたことをtumblrに投稿した.なるほど刺激は多すぎると整理がつかずストレスは残る.慣れることがストレスを真に解消する良い方法であると.時間はかかる.
多灯にしてみて,書斎は内省の空間になった.電球色の強い光を,天井照明は天井方向のみに照らし,下方向は消してみた.また,棒状の間接照明は,こちら側に向けず部屋の角に当て,壁が光るようにした.するとそれだけで書斎は陰影を持った空間となり,本や音楽やラジオがいつもより意味を持って心に迫る.今までの暮らしが意味の薄い干からびたものであったかのように,暮らしの質はこうして上がるのだと言ったふうに.
多灯の計画はまだ終わっていない.6月に再びIKEAを参上し,テーブルランプを1〜2つ見繕ってくる.机の上にランプを置くことでさらに複雑な陰影を作り,感情を抑えつつ耕せる文化的空間を演出しようと考えている.昨日今日で取り付けた2台の照明は,確かに神経や意識を内に向かわせた.確かに過ごす時間の質を変化向上させた.書斎をこんな空間に変えられたことに大きな手応えを得た.もうしばらく多灯計画を実行してみる.
