高校生の時に,私は仕事に人生を捧げないと決めた.その決意は実現し,今は有期雇用の契約社員であり,月収は手取りで23万円に過ぎない.その多寡を問うのではない.働きたくないのでもない.仕事が軽いのだ.いつも朝の1時間程度で仕事が終わり,その後はネットニュースを調べたり読書したり,勉強になる動画を見たりして過ごしている.仕事が軽いことは重要だと思っている.給与より肩書より,軽く働くことである.
能力を活かそうとか思わない.稼ごうとも思わないし,給与が自分への評価であるとも考えない.比べて競争しようなど愚の骨頂.仕事は仕事であり,労働の義務を果たすために与えられるものだ.では何が人生において大切だと考えているかといえば,健康と好奇心と信仰である.私の持病は今はすっかり症状が消えている.探究に退屈はない.信仰があれば承認欲求を満たそうとする必要がない.私の信条ゆえひとりになってもいい.
買い物に満足して1週間経った.予想通り,スーパーで食料しか買っていない.傍ら,探究のテーマを見つけたので,いくつか文献を漁っており,小論文を書き始めた.人文学や神学の分野である.自分の主張になってしまわないように,多様主義の立場を採り,何も否定せずに何も変えないような設計で内容を考えている段階.新実在論や新実存主義を踏まえ,クィアスタディーズも含めた神学上の認識論を書こうと思っている.
高校生の時に望んだ人生が叶い,その望みをひとつひとつ実現させている.人生が自分の思い通りに進んでいる.そういう人は世に少ないのかもしれない.それは大企業に勤めていても,高い地位に就いていても,大金持ちであっても,関係ない.結局は若いうちに望む人生について考え抜いたかどうかが重要で,それを怠った人はその後の人生もそれなりにしかならない.私は若いうちに考え悩んでおいて良かったと深く思う.
